古着屋さんをイメージした、マンションリノベーション

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Beyond Ordinary (ビヨンド オーディナリー)

Beyond Ordinary (ビヨンド オーディナリー)

デザインリノベーションを得意とする株式会社SHUKEN Re (シュウケン アールイー) でマーケティングを担当する齋藤(サイトウ)氏。

今回ご紹介するのは、ご自身が施主となり、築22年の中古マンションをフルリノベーションした物件です。

“住まい”に何を求めるか。広さや設備、駅からの距離や眺望などの条件は色々とありますが、最後に満足度を決めるのは、意外と「自分らしさをどれだけ宿せたか」かもしれません。

取材に応じていただいた株式会社SHUKEN Reの齋藤氏
取材に応じていただいた 株式会社SHUKEN Re の齋藤氏

暮らしのテーマは、ひと言でいえば “ありきたりではないこと”。

よくある「玄関→廊下→左右に個室」という定番の間取りをあえて崩し、住まい全体を“古着屋さんのような空間体験”へと編集しています。

扉を開けた瞬間、思わず「ここ、お店?」と声が漏れる。その驚きこそ、設計の狙いがきちんと届いている証拠です。

加えて大切にしたのは、猫との暮らし。

人の心地よさだけでなく、猫がのびのびと暮らせるのを前提に、物の置き方や掃除のしやすさ、通り道までを丁寧に整えています。

“世界観が完成している”ワードローブ

“世界観が完成している”ワードローブ

この家を象徴するのが、玄関ドアを開けてすぐに広がるショップのようなワードローブ。

「玄関+廊下+約6畳の洋室」だった場所の壁を取り払い、ホールとして“見せる収納”を実現しています。

靴も洋服も「仕舞う」のではなく飾る。スニーカー好きのご主人のコレクションも、奥にしまいこむのではなく、あえて視界の中へ。

お気に入りが並ぶ風景は、それ自体がインテリアになります。

スニーカーが綺麗に並べられているシューズクローク
スニーカーが綺麗に並べられているシューズクローク

そして、思わず唸ってしまうポイントは、「見せ方」まで設計されていること。

家具のボリューム、ハンガーパイプと棚板のリズム、アーチ形状のコーナーなど、“お店っぽさ”が成立する要素を1つ1つ組み込んでいます。

さらに、中央に置くチェストのサイズを小さくして、横にヴィンテージの丸テーブルも配置。

「好きなものに合わせて調整する」という発想は、家づくりの初心者にとって新鮮な学びになるはずです。

造作のチェストはたっぷり洋服が入る
造作のチェストはたっぷり洋服が入る
骨董市で見つけたテーブル
骨董市で見つけた丸テーブル

ただし、見せる収納だけでは暮らしは回りません。季節違いのモノや生活感の出るモノは必ず出てきます。

そういった時のために扉付きの収納も併設し、「見せる」と「隠す」を共存させました。

結果、ショップのような高揚感を保ちながら、日常の“散らかり”も上手に受け止めています。

「造作」で住まいは“自分仕様”になる

「造作」で住まいは“自分仕様”になる

Beyond Ordinary のなかで注目して欲しいのが、随所に散りばめられている造作家具の存在です。

齋藤氏自身も「おかげで自分の価値観に合う家にできた」と語ります。

特に象徴的なのは「使い方のリアル」から見直した洗面台の位置です。

元々は脱衣室にあった洗面台を、あえてリビング側へ移動。理由はシンプルで、日常の手洗いや身支度など、洗面の使用頻度はとにかく高いから。

暮らしの中心側に置いたほうが、単純に動線が良くなります。

洗面はダイニングと寝室の間にある
洗面はダイニングと寝室の導線上にある

一般的にリビングへ洗面を置いてしまうと、“設備っぽく”見えてしまいがち。

そこで既存のものを加工し、洗面ボウルを埋め込む「家具調洗面」。

造作で丸ごと作るより費用を抑えつつ、空間への馴染み方はむしろ自然です。

収納は三面鏡のような既製のスタイルではなく、隠し扉を壁面に。

縁まで造作し、絵やアートを使って周囲を埋めることで、「どこに収納があるのか分からない」ようにしました。

リノベーションらしい遊び心がありながら、生活感は徹底的に抑えられています。

額縁が隠し扉になっている
額縁が隠し扉になっている

LDKは縦長形状で横幅を取りにくい間取り。意識したのは、物を増やさず、行き来しやすくすること。

猫が走り回るときに家具が邪魔にならないよう、テレビボードは置かず、収納は造作で壁に埋め込みました。

毛が長い猫は家具の隙間に毛が絡みやすく、掃除のハードルが上がります。

床面の“障害物”を減らすことは、結果として暮らしの快適性を上げる合理的な判断と言えるのではないでしょうか。

AV機器やゲーム機などは壁の奥に収納
AV機器やゲーム機などは壁の奥に収納

住まいの“効率”と“気持ちよさ”を底上げする

住まいの“効率”と“気持ちよさ”を底上げする

造作家具の中でも、ひときわ目を引くのがダイニングにあるベンチです。

一見すると普通ですが、実は暮らしの“ちょっと困る”をまとめて解決している賢い仕様になっています。

例えば、家の中で意外と不足しがちな“少しだけ座る場所”として活躍するのはもちろん、ベンチの下にはルンバの基地を組み込み掃除が回るように計画。

さらに大容量の収納としても使えるので、ブランケットやペット用品、生活の小物類といった「出しっぱなしになりがちなモノ」をさっと隠せて、リビングの景色が綺麗になります。

ベンチの下はルンバのお部屋
ベンチの下はルンバのお部屋
奥は収納になっている
奥は大容量の収納になっている

そして、中古マンションで地味にストレスになりやすいバルコニーの段差も、ベンチが“ステップ”の役割を担うことで出入りがスムーズに。

洗濯物を持って移動する時も、つまずきの不安が減るのは大きな安心です。

また、日当たりが良いので、猫にとっての日向ぼっこスペースにもなり、人も猫も自然と同じ場所に集まる心地よさが生まれます。

この造作のベンチは、「場所を増やさず役割を増やす」という発想で住まい手の生活を良くしてくれるのです。

ステップのおかげでバルコニーへの移動もスムーズ
ステップのおかげでバルコニーへの移動もスムーズ

とはいえ、造作家具は「お金がかかる贅沢品」という印象を持つ方もいるかもしれません。でも、そのイメージが少し変わりませんか?

複数の家具を買い足すよりも、暮らしの中で起こる問題の解決策をひとつにまとめた方が、空間も金銭面も軽くなる。

このベンチは“造作=贅沢”ではなく、暮らし中で現実的な選択肢になり得ることを教えてくれる、まさに参考にしたい設えと言えるでしょう。

インテリアは「見た目」だけじゃない

インテリアは「見た目」だけじゃない

リビングの主役は、BoConcept (ボーコンセプト) のソファ。

夫婦で座っても余裕があり、さらに猫も一緒にくつろげるサイズ感。見た目だけでなく、猫との暮らしを前提に「生地の強度や手入れのしやすさ」まで含めて選んでいます。

床は費用を少し抑えるために、フロアタイルを選定したのですが、結果として掃除がしやすいというメリットを発見したそうです。

カーテンも、猫の毛が付きにくいバーチカルブラインドにして、掃除の手間を軽減。

こうした理にかなった選択の積み重ねで快適性が上がります。

sangetsuのフロアタイル (IS-2070-B)
sangetsuのフロアタイル (IS-2070-B)

次に、“住宅っぽく見えない”テクニックのひとつが照明計画です。

シーリングライトで無難にまとめず、部屋ごとに異なる照明を選び、「ディスプレイしている感じ」を狙う。

ワードローブのシャボン玉のようなペンダント、鹿のブラケット、寝室のラタン、トイレにあるリスの照明。

住まいの中に小さな物語が散りばめられています。

mercerie de ambience (メルスリー・ドゥ・アンビエンス) バブルボールガラスシーリングライト
mercerie de ambience (メルスリー・ドゥ・アンビエンス) バブルボールガラスシーリングライト
小杉拓嗣商のブラケットライト
小杉拓嗣商のブラケットライト
アジア工房のラタンでつくられたペンダントライト
アジア工房のラタンでつくられたペンダントライト
KAREのペンダントランプ
KAREのペンダントランプ

インテリアは感覚で選ぶものと思われがちですが、実際には“どこで、どんな時間を過ごし、何を優先したいか”を決めることで精度が大きく変わります。

見た目のおしゃれさだけを追いかけるのではなく、ムードをつくりながら必要であれば余白も加えて、部屋全体のバランスを整えるようにしてください。

エモーショナルとロジックを重ね合わせて、住み続けるほどに満足度が増していく住まいを目指しましょう。

“独立キッチン”は、フルオープンで暮らしの中心へ

“独立キッチン”は、フルオープンで暮らしの中心へ

リノベーション前は独立型だったキッチンを、フルオープンにしました。

レンジフードを隠し、吊り戸棚は印象的なオレンジカラー。さらに猫のごはんスペースも設けています。

金額面での工夫も秀逸です。天板はテラゾーにしたかったものの、本物は高額になりやすい。

そこで“似たデザイン”を探して、質感とコストの落とし所を見つけました。

猫のごはんスペースはカウンターの下
猫のごはんスペースはカウンターの下
テラゾー調の天板
テラゾー調の天板

設備はクリナップのワイドが2,700mmのものを採用。二人で並んでも作業がしやすく、容量も十分ですね。

壁面には正方形タイル×カラー目地で“韓国インテリア”のテイストを取り入れつつ、その奥はキッチンパネルでメンテナンス性を確保。

しかも、ツルツルではなくマットな質感を選び、空間との相性も考えました。見た目も含めて、きちんと設計されています。

オレンジの目地が目を惹くタイルパークの組絵セレクト
オレンジの目地が目を惹くタイルパークの組絵セレクト

既製品で無理なら「つくる」という選択

既製品で無理なら「つくる」という選択

寝室でこだわったのは、壁面収納とヘッドボード。

理想を実現したくても、最初は梁が出ていてメーカーの既製品では難しいと言われてしまったそうです。

そこで得意の造作にして、取っ手を半円形にするなど、細かい部分の愛らしさまで作り込みました。

壁紙は白をベースに、アクセントとしてヘッドボードの上だけマリメッコのLOKKI (ロッキ) 柄をセレクト。

派手すぎないベージュトーンで、分かる人には分かる“さりげなさ”を選ぶあたりに、齋藤氏らしい審美眼が光ります。

マリメッコの壁紙
マリメッコの壁紙

最後に紹介したいのは、壁を貫くように設けられた“猫トンネル”という仕掛けです。

通常はドアの下部にペット用の出入り口をつけるのですが、あえて壁に穴を開けて通路を確保しています。

こうした設えは既製品だと実現不可能で、まさにリノベーションならではの“遊び心”を添える存在に。

これから家づくりを始める方にとって、リノベーションの魅力をわかりやすく教えてくれる、参考にしたいアイデアですね。

寝室とLDKを繋ぐ猫トンネル
寝室とLDKを繋ぐ猫トンネル

「叶えたい暮らし」から逆算する

「叶えたい暮らし」から逆算する

齋藤氏が語るのは、とても本質的な視点です。

大事なのはデザインや間取りだけに軸を置くのではなく、“その先にどんな暮らしをしたいか”を考えること。

「全部を叶えなくても、優先順位をつければ実現できることはたくさんある」と続けます。

造作家具にこだわる一方で、床をフロアタイルにしたり、壁を塗装ではなく壁紙にしたり、ドアは自分たちで塗装したりと、バランスの取り方も非常に現実的です。

“こだわるところ”と“抑えるところ”を編集しながら、自分たちの好きな世界観へ着地させる。

そのプロセスそのものが、リノベーションの愉しさを証明していると思いました。

齋藤氏がこの家にかけた想い

それは、リノベーションだからこそこだわった、自分らしい暮らしのデザイン。

古着屋さんのような玄関のワードローブや、造作家具のアイデア。

そして愛猫とのライフスタイルを心地よく実現した住まいです。

■住まいの詳細情報

・建物    Beyond Ordinary
・場所    千葉県船橋市前原西
・専有面積  85㎡ (25.7坪)
・間取り   2LDK+ワードローブ
・家族想定  夫婦2人暮らし+猫1匹
・会社    株式会社SHUKEN Re

CLASTORiÉ公式YouTubeのルームツアー

今回は、SHUKEN Re が手がける、マンションリノベーションをご紹介します。

住まい手は、同社のスタッフでもある齋藤氏。

リノベーションだからこそこだわれた造作家具の数々や、まるで古着屋さんのようなインテリアスタイリング。

さらに家族として大切にしている愛猫との暮らしを、存分に語っていただきました。

齋藤氏のリノベーションマンションをYouTubeで紹介しています
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株式会社 SHUKEN Re

公式HPはこちら
https://shuken-renovation.jp/

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