Contents
狭小住宅にも想いを取り入れる会社
Earth (アース) は江戸川区を中心に家づくりを行っている工務店だ。彼らはお客様の求める住まいをイメージから形にする専門家。理想の暮らしや心地良さを感じる生活のシーンといった、ぼんやりとした手がかりから現実の住まいの空間へと形にしていく。
それが期待を超えるモノになるのは「お客様の想いをプロの想像力で膨らませるから」と、Earthの橋本雅志 (ハシモトマサシ) 氏は語る。そこにEarthが積み重ねてきたアイデアやノウハウ、職人が手掛けるオリジナルのキッチンや備え付けの家具 (造作家具) が加わり、理想の暮らしを送れる住まいを作り出している。
特にその力が発揮されるのが都心における条件の限られた住宅。土地が小さく条件が厳しい狭小住宅でも、キッチン周りの導線が快適であるなど、暮らしやすく豊かな空間を作るのは彼らの得意技だ。
「コンパクトな住宅でも豊かな暮らしが送れることを信じてもらいたい」と話す、Earth代表の橋本氏に想いを聞いた。
■Earth(アース)はどんな会社ですか?
− 橋本氏コメント:そうですね。一言で弊社を表すと「イメージを形にする能力が高い注文住宅の会社」と言えるかもしれません。
例えばあるお客様は、家づくりについて具体的なイメージを持っていないかもしれません。でも誰にだって、必ず憧れであるとか、心地良さを感じる住まいの形というのは、ぼんやりとありますよね。
グリーンを取り入れた空間でゆっくり読書がしたいとか、夫婦二人で料理を楽しみたいとか ……理想のシーンを語ってもらうだけでいいんです。それがあれば充分で、そのお客様の想いに対して、僕らは具体的に形にしていきます。それは空間に対するものであって、ただ部屋がこう並んでという平面の間取りだけではありません。それが住宅の設計です。
さらに言うと「こんな暮らしがあったんだ」と、お客様の期待を超えるような提案をひとつ作り上げることを常に意識しています。例えば、土地の広くない物件や、築古の物件のリノベーションに対するものです。狭小住宅でも快適な暮らしができたり、リノベーションで古い物件であることを感じない暮らしができる。
そこがプロのプライドであって強みです。
都心のニーズに応える住宅
■ほかにどんな長所や特徴がありますか?
− 橋本氏コメント:もうひとつは都心で家づくりをしている工務店だということです。都心のお客様がもつ理想の暮らし、あるいは悩みを家づくりで解決することにたくさんの実績があります。
分かりやすい例を挙げれば狭小住宅。都内だと小さい土地で依頼を受けることも多いです。その中でもお客様がうちに依頼をされてくるときは、その限られた空間の中でも家事のストレスがなかったり、家族の一体感を感じたいといった暮らしのアイデアや工夫を求めに来ます。
よくある普通の住宅会社で、「こういう暮らしがしたい」とイメージを伝えたとしても、数あるパターン、「規格(きかく)」というのですが、その中からお客様の要望に「近いようなもの」を提示するだけ。お客様の想いがダイレクトに反映されるわけではありません。
僕たちには専属の大工職人がいて、一軒一軒にオリジナルのキッチンや、造作というオリジナルの家具、収納などを製作しています。
そうすることで、例えば狭小住宅でも生活導線が快適だったり、インテリアショップに赴いて、わざわざマッチする家具を探さなくても、理想の暮らしに合う空間がつくれるんです。
リノベーションでも生かされる技術
■リノベーションでも実績が多いそうですね。
− 橋本氏コメント:予算の関係で中古の物件を買って、リノベーションする方も増えていますね。これも都心に多い需要と感じています。そうした物件では、すべて新しくするよりもあえて残す部分をつくることで、建物として奥行きが生まれたり、経年による美しさが際立ったりします。
持ち家の方だと、親御さんと暮らすための二世帯改修だったり、逆に減築と言って、あえて小さくしつつリノベーションする方もいます。小さくした分、アウトドアリビングをつくって、外とのつながりを楽しむ暮らし方などを提案することもします。
今建っている建物と新しくつくる部分のバランスを取りながら再構築していくことが、優れたリノベーションを行うポイントで、再構築するためには作り手のアイデアや高い施工力が求められます。
一から建てる新築に対して、今あるものを生かしながらより良く再構築するほうが実はとても難しい。ですがそのほうが、経験としても良いリノベーションができるんです。コストも抑えることが出来ると思います。
なのでリノベーションは、こういう考え方を持っている会社を選んだほうがいいと思います。選ぶ際は実績 (施工事例) を見せてもらって、あえて昔の梁を残していたり、レトロなガラスを活用した建具をつくっているとかの実例があれば、その会社は高い技術を持っていることが分かります。
お客様の想いをアイデアと造作で拡げる
■Earthには、どんなお客様が多いですか?
− 橋本氏コメント:もうすでに理想の暮らしが思い描けているお客様も多い一方で、「引き出してほしい」というお客様も多いですね。なんとなくイメージはあるんだけど、それを家という形にまでは具体化できていない。喉元までは出て来てるんだけど、という感じで、モヤモヤされている。お客様は建築のプロではないから、言葉で細かに伝えるのが難しいのは当然です。
だからそんなお客様の言葉とか想いを会話の中で聞き出して、あとはこちらがプロの創造力で、お客様の想像性を広げてあげる提案をします。
例えば、お客様の暮らしの中でのお気に入りのシーンが、より解像度高く見えてくるようなアイデアです。畑仕事がしたいとか、ガーデニングが趣味という話があれば、土間を設けてあげるとか、夫婦で料理が趣味であれば、キッチンの導線を広くとってあげるとか、都心でもグリーンがある暮らしを楽しみたいのであれば、プライバシーを確保しながら中庭をつくるとか、お客様に合わせたアイデアが生まれます。
私たちは暮らしへの想いを空間全体で表現して具現化しているんです。だからこそ安心して任せてもらえればいいと思います。
■お客様に用意しておいてほしいことは何でしょうか?
− 橋本氏コメント:「こんな暮らしがしたい」という想いでしょうか。
逆に、機能性や利便性については考えなくていいし、調べてもらわなくて大丈夫です。それはこちらでやります。
何もイメージがわかなければ、ドラマや映画のワンシーンでもいいし、思い返してもらえば、必ず自分の中に引っかかっているものがあると思います。
極端な例だと、大学ノート4冊分の理想のイメージを持ってきてくれたお客様もいました。さすがにそこまでしてくださいとは言いませんが (笑)、自分たちにとって心地いい瞬間や空間のイメージが何かあると良いと思います。
逆に、お客様の想いが僕らの創造性を広げてくれることもあります。そこにデザイナーとしての設計の力、大工の技術などが加わることで、期待を超えるモノになっていきます。
造作家具や建具で想いをカタチに
■具体的なエピソードはありますか?
− 橋本氏コメント:例えば、キッチンの後ろに背面収納があるでしょう。これも弊社ではオリジナルで作ることが多いんですが、あるお客様は電子レンジとかポットとか、家電製品の配線がいくつも見えるのがすごく嫌だったと。その悩みに対しこちらが何を提案したかというと、背面収納のカウンターを2重にして、奥にスリットを設け、一枚をスライド式で引き出せるようにした。間にゴチャゴチャしがちなコードを納めることができるようにしました。
ほかにも空間を広く活用するために子上がりを設けることがあるのですが、それを収納にできるよう工夫するなども定番の一つです。
このようなアイデアがお客様の言葉から生まれて、具体的な形になっていきます。
■そのようなアイデア、ノウハウが積み重なってきたことがEarthの土壌になっているわけですね。
− 橋本氏コメント:そうです。これは大工の技術、職人の技術があるからこそできることですね。専属の職人を抱えていない会社ではなかなか難しいと思います。
サイズピッタリの収納からテレビボード (テレビ台) まで、予算にもよりますが結構細かいモノまで作るので驚かれると思います。お客様がご友人を招いたときにそれを見て、同じのが欲しいというところから、新築やリノベーションのご依頼を頂くことも多いですね。素材や色身をコーディネートすることが出来るので、内装全体が調和して見えるメリットもあります。
Earthがコロナ後も伝えたい暮らし
■コロナ禍で家づくりには変化はありましたか?
− 橋本氏コメント:デジタル化が進んで、都心のお客さんが今まで以上に増えました。それまでは車で30分圏内の方がほとんどだったんです。それが23区全体になって、最近では多摩のほうのお客様まで来ていただけるようになりました。
なぜかというと弊社の場合、実際の施工が始まるまで8回ほど打ち合わせをするのですが、そのうち6回はZOOMでできるようになったので。お客さんは進んでいく家づくりを3Dのモデルで確認することができるし、何ならZOOMの方がマスクをしなくていいので表情がハッキリ見える。距離がなくなった。
■なぜお客様が増えたと考えますか?
− 橋本氏コメント:もともとコンパクトで豊かな暮らしという可能性を追求してきたから、コロナが流行する中でステイホームというか、家にいる時間が長くなって住まいのことを考える時間が増えたことが大きいのではないでしょうか。
ほんとはコロナの前から、家で過ごす時間が一番価値あるものであるべきなんだけどね。そこに社会全体が注目するようになったのは嬉しいことです。
■「コンパクトで豊かな暮らし」は、なかなか伝えるのが難しい気もします。
− 橋本氏コメント:いまあるモデルハウスは約13坪 (13.29坪) の敷地に対して、建物は約8坪の2階建て (26.25㎡×2階建=52.5㎡) のZEH (ゼッチ=Zero Energy Houseの略で、簡単に言うと断熱性を高め、冷暖房効率が高くなった家) です。
あえて極端に小さくしたモデルハウスにしました。なぜかというと、それで導線が良くて無駄な距離がなく、さらに空とグリーンと繋がれれば、小さくてもこんなに豊かな空間になるんだというコンセプトを明確に示したかったからです。
しかも、この家は築43年の住宅をリノベーションしたもの。都心にはこういった条件の物件が多いと思いますが、私たちプロがしっかり想いをもって取り組めば、快適な住まいになります。築43年のリノベーション住宅でも問題なく性能を引き上げることが出来るんです。
このモデルハウスを実際に見てもらえば、どんな方にもコンパクトで豊かな暮らしができる可能性を感じてもらえるはずです。
Earthのこれからのチャレンジ
■Earthがこれから目指していることは?
− 橋本氏コメント:新しく昨年の4月にオープンした事務所は、ライフスタイルショップ のような柔らかい雰囲気を目指しました。こうすることでお客様が暮らしのアイデアを、もっと自由にイメージしてくれると思ったからです。より話をしやすい雰囲気づくりに貢献してくれるはずです。
− 橋本氏コメント:また、弊社としては来年海外にも進出したいと考えています。基本的に普通の建築関係者はグローバルじゃない。地域の住宅や施設、工場などを建てていますよね。
でも、例えば弊社が手掛けてきた「コンパクトで豊かな暮らし」を海外に発信したら、どんな反応が返ってくるのか、非常に興味があります。
それに海外でも仕事をすることで、日本の住宅に還元できることがたくさんあると思うんです。
最初は「東京の暮らしを変える」といって創業した会社。それがいまは「こんな暮らしがあったんだ」を提案しているように、これからも進化を続けながら、住んでいる人が「ここにいるといいよね」っていう価値観が持てる住まいを作り続けていきたいですね。
インタビューにお答えいただき、ありがとうございました。
私たちの暮らしのイメージもアップデートしたい
東京で戸建てに住みたいというニーズは高い。
だが、諦めてしまっている人も多いと思う。その理由は何と言っても予算の問題だろう。
だがEarthの橋本氏の話を聞くと、それ以上に私たちの「暮らしと住まいに対するイメージ」も変わらなくてはいけないのではないか、と思えてきた。
例えば実家が戸建てで、そこで育ってきた背景をもっている人は、戸建ての暮らしのイメージがそれに準ずるものになっているのではないだろうか?
そうすると「戸建てならこれくらいの大きさがないと暮らせない」とか、「土地は〇〇坪以上は必ず要る」とか、根拠がないのに考えていないだろうか?
そのイメージを基準にしてしまうと、都心では想像以上の予算が必要になってしまい、「理想の暮らしを諦めるしかない」と思考が停止してしまう。
橋本氏とEarthの家づくりの仕事を見れば、小さな土地に建てられた狭小住宅でも、築古の物件をリノベーションした住まいでも、快適な暮らしができる可能性があることがよく分かる。
狭小住宅のような条件が限られた住まいでこそ、家の専門家であるEarthのような会社を頼りにするべきだ。
建物に合わせてオリジナルの収納や備え付けの家具を製作してもらえる「造作」など、培われた技術が最大限に活用されることが分かるはず。
限られた条件の中で豊かな暮らしを送る。そのための家は、橋本氏の言う専門家のデザイン力や造作を作る技術、そして「プロの想像力」が組み合わされば可能になる。
私たちの暮らしのイメージも、アップデートしなければいけない。
掲載企業・ブランド紹介
Earth Inc. (アース株式会社)
江戸川区を中心に戸建ての設計と施工を手掛ける工務店。「東京の暮らしを変える」をコンセプトに、都心ならではのニーズをくみ取る狭小住宅や、リノベーション、また二世帯住宅などの実績が多数。自分たちの価値観を伝えるセレクトショップ兼店舗の「VIVO (ヴィーヴォ)」も江戸川区にオープンしている。
公式ホームページはこちら
https://earth-official.net/